個人の税理士事務所を選ぶメリット!税理士の視点からわかりやすく解説!
個人の税理士事務所を選ぶメリット
大手税理士法人と個人の税理士事務所を比べたとき、「大手だからこそのメリット」が、税理士業界では実はあまり大きくないケースが多々あります。
これは、税理士の国家資格・税法などが全そもそも国共通であること、大手ならではの資金力などを競う銀行などの業態とは異なることなどが理由に挙げられます。
加えて、大手ならではの実情として「実際に税理士資格(全5科目合格)を持つ者の割合が少ない」点も考慮すべきでしょう。
以下に、個人の税理士事務所を選ぶメリットをまとめます。
1. 税法や資格は全国共通:サービスの質は「担当者」に依存する
銀行のように「大手だから融資できる額が大きい」というような違いは、税理士業界にはありません。
- 税理士試験は国家試験であり、合格すれば全国どこでも同じ資格・権限を有します。
- 税法や会計ルールも全国共通ですから、大手か個人かで扱う業務内容が大きく変わることはありません。
したがって、**もっとも重要なのは「担当者の経験・知識・コミュニケーション力」**です。大手かどうかより、実際に面談する担当者が「どれだけ知識と経験があるか」「話しやすさ・相談のしやすさがあるか」が、最終的なサービスの良し悪しを大きく左右します。
2. 大手ほど「資格を持った税理士の割合が少ない」ケースがある
税理士資格を得るには5科目合格が必要ですが、大手税理士法人の場合、まだ全科目を合格していない“税理士見習い”のスタッフが9割以上を占める場合も珍しくありません。
- 名刺を見れば「税理士」ではなく、「税理士補助」「科目合格者」などの肩書きが記載されていることもあります。
- 大手であっても、実務を担当するのはそうした“見習い”スタッフであるケースが多いのです。
当然、見習いスタッフであっても優秀な方は大勢いますが、「大手=常にベテラン税理士が対応する」とは限らない点に注意が必要です。
3. 大手でも中小企業や相続税業務は担当者がほぼ1人で対応
大手の看板を掲げていても、中小企業の顧問や相続税申告といった業務は、ほとんどの場合1人の担当者が対応します。
- 大人数のチームで対応するイメージがあるかもしれませんが、実質的には1人の担当者が取り仕切るケースが多いのです。
- 大手にも経験豊富な税理士は在籍していますが、あなたの担当になるかどうかは分かりません。
つまり、大手=手厚いサポートが必ず受けられるわけではないということです。
4. 「大手=都心部集中」でコスト構造が割高になりやすい
大手税理士法人は大きなオフィスを都心部に構えていることが多く、高額な広告費をかけて知名度を獲得しています。これは「大手=信頼度が高い」というイメージを生みやすい一方で、以下のようなデメリットにもつながります。
- 家賃や広告費などの固定費が高くなる
- そのコストが報酬に上乗せされる可能性がある
結局、「大手のブランド力」を維持するためのコストを、依頼者が負担する形になりかねません。
5. 都心部の競争激化:個人事務所のコストパフォーマンスが優秀
都心部では多くの税理士事務所が乱立しており、広告費やオフィス維持費が高騰しています。それに対して、地域密着型の個人事務所には以下のメリットがあります。
- コストが抑えられる: 大手に比べて余分な宣伝費や高額なオフィス家賃がかからず、報酬も抑えめになる可能性が高い。
- 親身な対応: 地域の事情や周辺業者とのパイプがあり、地元の中小企業や個人の相続に即したきめ細かなアドバイスが得やすい。
- ワンストップで丁寧: 小規模だからこそ、担当者が最初から最後まで一貫して対応し、意思疎通がスムーズ。
6. 「担当者との相性」が何より重要
税理士は企業や個人の経営や税務だけでなく、相続や事業承継など、非常にプライベートに踏み込んだ相談を受けることが多い仕事です。
- 「大手・個人」よりも、自分や会社の将来にしっかり寄り添ってくれる税理士かどうかが重要。
- ベテラン税理士が担当してくれるかどうか、「報酬は適正か」「レスポンスは早いか」などもポイントです。
まとめ
- 税理士試験・税法は全国共通。大手の資金力やブランドによるサービス格差は他の業界のようには生じづらい。
- 大手では一見「組織力」があるように見えるが、実際に担当するのは“税理士見習い”スタッフが一人のケースも多くあり、ベテラン税理士が直接対応するとは限らない。
- 中小企業の顧問や相続税業務は担当者が1人で遂行する場合が大半で、「大手だから安心」ではなく「誰が担当するか」が重要。
- 都心部の大手は家賃や広告費などの固定費が高く、コストの上乗せが報酬に反映される可能性がある。
- 地域密着型の個人事務所であれば、コストパフォーマンスが高く、きめ細かな対応を期待できる。
結局のところ、**「どの事務所が大手か」よりも「どの税理士が担当してくれるか」**が鍵となります。費用や立地だけでなく、「話しやすいか」「専門性が高いか」「レスポンスが早いか」などを総合的に見極め、自分に合う税理士を選ぶことが大切です。面談や初回相談を複数の事務所で行い、相性を確かめることを強くおすすめします。